俺の話でもしてみようか その1
■はじまり
あれは、確かレコパルとかの音楽雑誌だったとおもう。
たまにそういうものを買っていたのだ。
音楽に対する距離があまりにもとおいいなかでは音楽雑誌が唯一の情報源。
当然インターネットなんてもんが広まる以前のハナシ。
そこには確か、こんなことが書かれていたのだった――。
「トリップできるアルバム特集!ビデオドラックならぬサウンドドラックの世界」
当時中坊だった俺は、その一行で完全にノックアウトされた。
「トリップ」と「ドラック」の行間にただよう背徳感。
そんなワードは、もちろん映画のなかでしか知らない。
何だそりゃ!どんなんだろう、そのアルバムって!!
ぞくぞくしながら、レコード屋に走る俺がいた。うん。チャリでね。
鮮烈なオレンジのジャケット。恍惚感ただよう男の横顔。
たしかに"らしい"感じ。
たかだかCD1枚で、どきどきしっぱなしで家に戻る俺。
今思い出しても、甘酸っぱい。(いやそれちがう
夜中にエロ本の自動販売機まで買いに出かけたミッションのように、
周りを気にしながらの道のり、挙動不審!!
よくわかるでしょ。まあ、ゆるしてやってよ。
家にたどり着き、いざオナニー!!的勢いで、例の雑誌を開く。
そこにはこう書かれてあった。
「1曲目のザ・ゴッズ・メイド・ラヴ をヘッドホン大音量にして聴け!」
もちろんそのとおりにする。
当時小遣いをためてかったお気に入り、ソニーのピクシー!
いわゆるミニコンポってやつだ。
これがなかなかいかした奴で、音がいい。フルボリューム!!
なんだこりゃ!まるでホラー映画のサウンドのよう(なエフェクト)
こんな音、きいたことない。上下左右、手前から奥へ
音の洪水がおしよせる。さいしょはノイズにしか、きこえません。
よくわかんねぇ!!!
試しに部屋の明かりを真っ暗にして
ヘッドホンを大音量にして
聴いてみたのだ。
中坊の俺は。
おおっ!!!
カラダが音の芯のほうへもっていかれる!
まるでジェットコースターが落ちるときみたいだ!!なんでだ!!
俺はそのとき、ディズニーランドのビックサンダーマウンテンをおもいえがいていた。
そうか、これがトリップというやつか。
なんだかおもしろいぞ。
でも数分でおわりじゃねーかよ!!
端から見れば、暗い部屋のなかで椅子にすわり、頭をぐいんぐいんグラインドさせていたのだろう。
よかった。かーちゃんに見つかんなくて。。
俺が幸運だったのが、何の気なしにつられて買ったアルバムが
ジミヘンの最高傑作だったこと。
何度か聞き込んでいくうち、(まあ確かに毎回1曲目のふんいきにひたっていたのだが)
素晴らしいアルバムであることがガキの俺にもすこしづつ分かってきた。
でもこないだまでMR.BIGとかエアロスミスとか聴いてたくせにー
あーやだやだ。中二病って笑
「オール・アロング・ザ・ウォッチタワー」
「ヴードゥー・チャイルド」
なんかをエアギターとデタラメ英語で毎晩シャウトしていたのであった。
ちょうど映画「プラトーン」をみて、ベトナム戦争前後の退廃的なふんいきと
60年代70年代の音楽にちょっと触れていたころ。
(そういえばプラトーンのサントラが初めて買ったCDだった!これはいいです。かなり。
でもなんでエアロスミスとかにいっちゃったんだろうw わかりやすさか。中坊だからw)
たぶんジミヘンは他にも何枚かかったんだとおもう。
でもこの一枚ほど中坊の俺のこころにささったものはなかった。
こうして、「エレクトリック・レディランド」は、
ひょんなことから”トリップ”という感覚が(ちょっとだけ)わかった記念すべきCDとなったのである。
でもエレキを買うまでには至らなかったけどね。
(つづく)
以下気がむいたら
■FATBOY SLIM / UNDERWORLDのせかい
■仲間たちとのであい
■ようこそ、ハウスミュージック
■パラダイス・ロスト
■そしてもぐる
■あらたな地平(おおげさ)
